ピエール・ジャンヌレとチャンディーガル

stool
ピエール・ジャンヌレとチャンディーガル

1896年に生まれたピエール・ジャンヌレは、ル・コルビュジエと名乗った従兄弟のエドゥアール・ジャンヌレとともに事務所を構えました。そして共同で20世紀の最も名高い建物のいくつかを設計しましたが、その中にはサヴォイ邸やジュネーブのクラルテ集合住宅、パリのスイス学生会館などが含まれます。第二次世界大戦が勃発すると、ル・コルビュジエはフランスのヴィシー政権を支持し、ピエールはレジスタンス運動に参加したため、実り豊かな彼らの協力関係は終わりを告げました。
1955年には、インドのパンジャブ地方にチャンディーガルの新都市を設計するために二人は再びチームを組んでいます。やがてル・コルビュジエはこのプロジェクトを他人に任せることにしましたが、ピエール・ジャンヌレはその後15年間、同プロジェクトに専心し、これを完成させました。二人は西洋の近代精神とインド農村部の職人芸を融合させ、古風でありながら近代的な表現を追求しました。そして細部まで綿密にデザインし、地形と建築、家具の統一を実現しました。

stool
家具の特徴

1955年にはインドの工業化はまだ進んでいませんでした。そこでピエールは自らのデザインをインドの伝統工芸に応用することによって、近代精神を表現しようとしました。彼はチーク材、革、藤(ラタン)などの地元に存在する材料を利用し、単純な技法で家具を制作しました。この大胆な挑戦を通じて、素朴さは新たな近代性を獲得したのです。

jeanneret pierre chair
来歴

芸術作品の来歴が明らかであれば、その真正性の証明は容易になります。しかしジャンヌレの家具は1990年代には受領証なしで販売されたりオークションにかけられたりしたため、来歴調査は非常に困難です。そのためオークション・ハウスでも、細部を比較してピエール・ジャンヌレの特徴を見極める複雑な鑑定がしばしば行われています。経年変化、サイズ、修復前の写真、木材の接合方法やダボの種類、木材の色や質感、刻印や背もたれの湾曲などを調べれば、真贋の見極めが可能になるからです。いかなる家具に関しても、重要なのは豊かな経験と綿密な調査なのです。以上の理由から、当ギャラリーでは、真正が証明されたジャンヌレの家具のみを扱っています。
彼がデザインした家具は様々な職人が手がけているために多くのヴァリエーションが存在し、従ってすべての細部を確認することが必要なのです。家具の一部分が修復されたために、もはやオリジナル作品とはいえず、当ギャラリーで販売できなくなる場合もあります。個人の、あるいはプロの蒐集家にとって、オリジナル作品を入手することが非常に重要だからです。
そのため、私たちは一つ一つの作品についてプロによる鑑定を行い、修復前の写真を含め、すべての特徴の評価および分析を行っています。

 

 

ピエール・ジャンヌレとチャンディーガル